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月曜日, 5月 16

第6陣 船越集落(雄勝半島)

こんにちは。6陣のはるかです。
雄勝半島の船越集落の帰り道です。

今回船越へ赴いたのは、現在、船越の中心人物である中里孝一さんからの電話があったからでした。
船越に残っている者はここを復興していきたいと思っている。夢物語みたいに聞こえるかもしれないけれど、本気でやっていきたいと思っている。一度出ていった者も徐々に帰ってきている(又は復興する見込みがあれば帰って来る人も多いだろう)という状況・心境にある。
船越が一つのモデル地区となるような意気込みで構想実現に向けて動いていきたいので、人脈やアイディアなど力を貸してほしい。とのことでした。


船越へは三枝つよしがリーダーのチーム(第3陣、第5陣T)で何度か訪れています。が、今回赴いた3人は初船越でした。
急を要している点、サケに期待をかけられた(おそらく)重大で代え難いプロセスの始まりであった点から、今回の訪問を急遽決めました。
環境経済学が専門で、人と自然の有機的なつながり(と言う意味の「環境」)を考えている足立と、都市・地方計画(まちづくり)を仕事にしている松本さんと、割と顔が広く、仕事場が省エネや自然エネルギーをやっていて、自分自身ワークショップをする機会があるはるかの3人でした。

訪問したことのあるメンバーから聞いていたとおり、中里さんは、遠洋漁業をしていた際に世界中で得た広い視野と、漁師としての誇り、みんなのことを心底思うやさしさを持ち合わせた 魅力あるリーダーでした。


集落全体を丁寧に丁寧に紹介してくださいました。

ほとんどの家が壊滅状態で、小学校も3階まで浸水、水産加工場(仕事場)も壊滅状態でした。
ですが、350人の集落で犠牲となったのは9名で、多くの方が助かりました。
最大の津波の後の引き潮の時に、若い人たちが動けずにいた高齢の方を助けたり、山の上の神社に避難された方のところへ、毛布や食料を届けたりされました。
避難所の一つだったところの鍵を持っていた方は、とっさに避難所としては低すぎると判断し、鍵を開けずにまだ高いところへ行けと叫ばれたそうです。
一方で、もう一カ所の避難所であった曹洞宗のお寺の和尚さんが最後までお寺に残り、流されてしまいました。
和尚さんのことを、みなさんは普段からとても誇りに思っているようでした。幼いころの病気で言葉に障害があって、決してお経を読み上げるのは上手ではないかもしれないけれど、心のこもったすばらしいお経だったと。奥さんとお子さんもそれぞれ障害があって、今は遠くに避難しており、本堂や庫裏が流されたままになっている。なんとかしてお寺のための義援金を集めて、お寺を復興し、呼び戻したい気持ちがある。自分たちにとってはここが唯一のお寺だから。と話されました。


息子さん夫妻とお孫さんを失われた方は、「最初は悪さした海をみたくねぇと思ったけど、息子らと同じ風にあたり、同じ季節を感じて生きていきてぇから、今は船越の復興に全力を注ぎたい」と、「これまで以上の生活は望まない。失って初めてわかった家族、船、家、仲間の大切さ。船越の豊かさ。なんでもねぇ生活がどんだけありがてぇか。それをまたやりてぇ。にくい海だけど、俺らはその海の恩恵を預かってきた。また海と暮らしてぇ。」とお話してくれました。

ほかにも船越の湾がどれほど豊かであるか、一年のお仕事の移り変わりを聞いてわかりました。ふつう集落の中には同じ名字の方が多いですが、ここは色々な名字の方がいます。それは豊かな漁場で多くの人が入ってきた歴史があるからとのことでした。
湾の向き、北上川、森と沢の関係で豊かな漁場を作っていることも知りました。


これまでも様々な経験をしてきたけれど、海の自浄能力はすごい。海は必ず復活する。とのお話も印象的です。

みなさんの構想や どんなに船越の自然が豊かで どんなに人のつながりが豊かで どんなに船越である必要があるのかを伺った後、私たちの方から、仮ですが、それらを第三者に説明できるような図や形にして発表しました。

それまで2日間、私たちに集落全体の話をしたり、失った方のお話をしたりする中で、たくさんのつらい出来事を話されても、とても落ち着いた中里さんでしたが、足立が図の説明をしながら、みなさんの思いはこういうことですか?と確認をしている間、中里さんは大粒の涙を流しておられました。


今後、もっと多くのみなさんのご協力が必要になります。
船越集落のこと、頭の片隅に置いておいてください。


team SAKE 第6陣 はるか・足立・松本

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