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水曜日, 6月 15

岩手日報6月15日版に、綾里田浜の記事が掲載されました。

ウェブ上でも「岩手日報WebNews」において、閲覧することができます。

高台移転へ住民が組織 大船渡・綾里の田浜地区

team SAKE 足立


~~~以下掲載記事~~~


高台移転へ住民が組織 大船渡・綾里の田浜地区


 東日本大震災で大きな津波被害を受けた大船渡市三陸町綾里の田浜地区の住民は高台移転を検討する住民組織「田浜震災復興委員会」を立ちあげた。集落単位で住民主導で動きだすのは県内に先駆けており、人口流出とコミュニティー崩壊への危機感が住民を駆り立てた。実現には行政支援が不可欠だが、国の対応が遅いことで「足止め」を食らう格好になりかねず「国はまどろっこしい」との声も上がる。

 田浜地区は63戸。同地区契約会の野村誠一会長によると、今回の津波で22戸が流され8人が亡くなった。同地区は明治三陸大津波や昭和三陸大津波でも大きな被害を受けた。

 惨状に住民は「このままでは地域がなくなる」と危機感を募らせた。6月に入り、役員が高台への集団移転について勉強会を開催。12日夜には一般住民も参加し、委員会を設立することで合意した。

 委員会では▽浸水地域は高台に移る▽コミュニティーを大事にする▽漁業がやりやすい環境▽家屋を流された人の経済負担を少なくする-などを考慮しながら方策を検討。具体化はこれからだが、田浜の海を望める山を削り、浸水地域の一部をかさ上げするアイデアを国の補助で実現したい考えだ。

 明治の津波で被害を免れた自宅が今回は全壊し、仮設住宅に住む漁業の男性(67)は「田浜は海からすぐ高い山がある。高台を切り開いて移転し、海の近くには加工場などを建てればいいのでは」と賛同する。住民の9割は漁業を営んでいる。

 市災害復興局の佐藤高広局長は「地域ごとに地形や特性は異なるので、住民との合意形成が必要。今後も相談していきたいが、国の動きも見ながら進めたい」と語る。

 浸水区域からの集団高台移転は県が復興基本計画の柱として示した「グランドデザイン」でも3パターンの一つとして位置付けられており、住民の考えは合致する。

 土地の買い上げや新たな宅地造成など、多額の行政支援が不可欠。しかし、国の方針、新たな補助制度もなかなか固まらない。

 野村会長は「国の動きを見ながら進めたいが、どうもまどろっこしい。早く手を打たないと、待ちきれず田浜を出て行く住民がいるかもしれない。コミュニティー崩壊を防ぐためにスピード感が重要だ」と訴える。

(2011/06/15)

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